今夜は夜空がきれいです。空を何かがひた走っているかもしれません。
ダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクセン、ドンダー、ブリッツェン、キューピド、コメット。これが、何の名前かわかる人、日本では相当なクリスマス好きの方になるでしょうか、そう、これら8頭は、サンタクロースが乗るそりを引くトナカイたちです。
じゃあ、題名のルドルフは?
ルドルフこそ9頭目のトナカイ。8頭より先を走る赤鼻のトナカイなのです。
ルドルフを除く8頭のトナカイたちの名前がアメリカ文学に最初に現れたのは、1823年、クレメント・C・ムーア(Clement Clark Moore)という人の書いた「 A Visit From St.Nicholas」という詩で、「The Night Before Christmas」という題名で日本では、よく知られてます。
しかし、ルドルフがサンタのそりを引くようになったのは、それからずいぶん後のことなんです。
今宵はちょっとその話を。。。
1930年ごろ、シカゴに住むボブ・メイは、通信販売会社モントゴメリー・ワードの宣伝原稿を書く仕事をしていましたが、暮らしは貧しく、安い給料で遅くまで働かなければなりませんでした。
それは、非常に厳しい時代でした。ちょうど、ウォール街で株価が大暴落をし、恐慌に世界があえいでいた頃です。
彼の宝は、若い妻のエヴリンと幼い娘バーバラでした。しかし、バーバラが2歳の頃から、エヴリンがガンで寝込むようになりました。エヴリンの容体は日増しに悪くなり、ベットから起きることも出来なくなったのです。
ある12月の夜、4歳になった娘のバーバラが、ふとボブに尋ねました。
「ねえ、パパ。私のママは、どうしてみんなのママと同じじゃないの?」
バーバラは子供らしい好奇心で、寝たきりの母親のことを尋ねたのでしょう。ボブは思わずバーバラを抱きしめました。
貧しい中、せめて、この子を幸福な気持ちにしてやらねば。何かを言ってやらなければ。。。
幸せな気持ちになれるような何かを。けれど一体何を言えばいい?
思い出したことは、自分の幼い頃のことです。ボブは、身体が弱く小柄な少年でした。小さな子は、残酷なことを無邪気にしてみることがあります。彼のクラスメートは、彼が痩せているのをはやしたて、彼を泣かせて喜んでいました。
ボブは呼吸を整え、顔を上げました。自分の中からありとあらゆる想像力と勇気を集めました。それから、娘に向かって話しはじめました。
「昔々のこと、ルドルフというトナカイがいたんだ。ルドルフは、世界にただ一頭しかいない不思議なトナカイだった。それはね、ルドルフは、なんと大きい、真っ赤なお鼻をしてたんだ!
あだ名はもちろん『赤鼻のルドルフ』さ!」
神様に創られし生き物は、たとえそれらが普通の人や動物と違っていても、いつかきっと奇蹟が起こり、幸せになることが出来る、ボブはそれを言おうと思っていました。
娘のために、病と闘っている妻のために、そして、自分自身のために。
「でもね、ルドルフは幸せだったと思う?ほんとは、ルドルフはそのお鼻のことでとっても悩んでいたんだ。だって、みんなは自分を見て大笑いするし、悲しくて仕方がなかったんだ。」
バーバラは瞬きもしないで聞いていました。
「ところが、あるクリスマス・イヴのこと。サンタさんがソリで出発しようとした時、急に霧が広がり始めたんだ。サンタさんは、思わず眉をひそめちゃった。霧が深いと子供達のいる家の煙突を探すことが出来ないからね。
その時、サンタさんはルドルフのことを思い出したんだ。
サンタさんは、ルドルフのことをよーく知っていた。その真っ赤なお鼻のこともね。
サンタさんが辺りを見回わすと、群の後ろで見送りに参加しているルドルフが目に入った。なんとそのお鼻は、いつも以上にきらきら輝いていたんだ!
サンタさんはすぐ、黙ってルドルフに近づくと、ソリのところへ連れて行き、チームの一番先頭にルドルフを立たせたのさ。ルドルフはもう、夢を見ているような気持ちだった。
そのルドルフの耳に力強いサンタさんの声が聞こえた。
『さあ、行こう、仲間たち!!世界の空へ!!子供たちの夢へ!!』
トカナイたちはいっせいに身を躍らせた。ルドルフのお鼻がひときわ明るく輝いた。
もうそれはまばゆい光になっていた。
9頭のトナカイは、空へ駆け上がった。霧の中にルドルフの輝きがすうっと線を描いて消えたんだ。その夜、ルドルフはサンタさんのソリを立派に先導したしたんだ。霧も、雪も、吹雪も、ルドルフがついていたら平気だった。
そうして、ルドルフはもっとも有名な、みんなに愛されるトナカイになったのさ。ずっと昔、恥ずかしくて隠したくなった真っ赤な大きなお鼻は、今ではみんなから一番羨ましがられるものになったんだ!!」
バーバラは、輝くような笑みを浮かべました。喜びで表情が変わっていました。ボブの思いは見事にバーバラに届いたのです。
けれど、それからが大変でした。小さなバーバラは、毎晩ボブにそのお話を聞きたがりました。ボブは娘を寝かしつけながら、ほとんど毎晩のようにそのお話をしましたが、バーバラはそれでも毎晩続きを聞きたがるのです。
やがて、ボブに素晴らしい考えが浮かびました。お話を本にして、クリスマスに娘にプレゼントしてやろう。
貧しい暮らしでは満足なプレゼントは買ってあげられませんが、手製の本ならば紙とペンがあれば作れるんですから。
ボブは毎晩娘が眠ってから、遅くまで「ルドルフ」のお話を詩にし、綺麗な本に仕上げる作業に没頭しました。
それは、どんな時も絶えることがありませんでした。つらいつらい、妻のエヴリンの死も乗り越えて、その作業は続きました。。
そしてようやく出来上がった、ボブ手作りの「ルドルフ」を見て、バーバラが歓声を上げた数日後、ボブは1938年の会社のクリスマス・パーティに呼ばれました。
仕方なくパーティに出席した彼は、余興として自分の書いた詩を持って行き、それをみんなに読んで聞かせました。はじめガヤガヤしていた仲間たちでしたが、次第に話し声が聞こえなくなり、詩を読むボブの声が終わると一斉に拍手が湧き起こりました。
1939年、ボブの詩は会社から「赤鼻のトナカイ(“Rudolf the Red-Nose Reindeer”)」と題され発売されました。
それから、「赤鼻のトナカイ」という曲が出来る1949年のクリスマスまでに、この詩は6百万部を売るベスト・セラーになりました。
長い苦しく不幸な年月を過ごし、愛妻と悲しい別れをし、そして、ルドルフを通してこの上ない成功をおさめたボブは、クリスマスが来るたびに心静かに思い返したといいます。
「あの夜、愛するバーバラがあの質問をしてくれなかったら、ルドルフはこの世には生まれなかっただろう。なんと不思議な瞬間だったのか。私は神とエヴリンとバーバラに心から感謝している」
。。。。。
奇跡は、意外に身近な小さき者の近くに居るのかもしれません。
あなたはどう思われましたか?
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注:この記事については、一部 http://victorian.fortunecity.com/rodin/485/carols-special-index.htm#songs(野上絢訳)から記事を参考にしたところがあります。
↓クリスマスにちょっといい話はこちら
2007年記事
ヴァージニアに愛を込めて
ルドルフを知っていますか
クリスマスキャロル
2008年記事
こころのチキンスープ
エリクソン博士とおばあさん
シークレットサンタ
かっちゃんと縦笛
誰かを幸せにしたい…と願う事こそが、自分を幸せにしてくれるのだと言う事なのですね…。
( ;∀;) うう、、、またみみすけさんに感動させられた・・・
歌の「赤鼻のトナカイ」を深く堀り下げるとこんな深い話があるなんて・・・
いいお話でしたよ!!ブラボー!!
とってもいいお話・・・
なのにオイラは「シンボリ」を付けたくなります^^;
朝から涙ぐんでしまいました。
娘はここ数日赤鼻のトナカイの唄をずっと歌っています。
このお話を聞かせてあげようと思います。
素晴らしい…(ノ_<。)うっうっうっ
9頭目のトナカイ…ルドルフ。
そんな話が有ったのですね。
もう2回位読ませてもらって…
僕も子供に話をしたいと思います。
ありがとう!!みみすけさん♪
はじめまして!
take-papaの嫁です。
『赤鼻のトナカイ』って
こんなに奥の深い話だったんですね。
感動して・・・うるうるです。
早速、おチビ達に話してあげようと思います。
今日はすごく寒いのに・・・
心はとても温かな気持ちでいっぱいです。
ステキな話をありがとうございました。
■□□□ naminosabaohさん こんばんは
これは、私が書けない素敵なまとめでした。
なるほど、、と納得してしまいました(^^)y
■□□□ lagさん こんばんは
喜んでいただけましたか、うれしいです。
最近、ネットサーフィンして見つけた記事が元ネタですが、よいお話でご紹介したいと。(^^)
■□□□ simojiさん こんばんは
はははは~(^^)y、確かにシンボリルドルフ、私も良く知っています。
がんばれ~って
■□□□ りるっちさん こんばんは
ちょっといい裏話ですよね。
裏話って子供にどう話したら良いか、難しいかもしれませんが、うまく伝わればうれしいです(^^)y
■□□□ liltさん どうもです
私も、よく聞くこの歌にこんな逸話。
知ったら、皆に伝えたくて(爆)
うまい具合に伝わればうれしいです~(^^)y
しかし、先週、今週と金曜用にと、ネタがあったのだが、もうネタが尽きました(爆)
来週はどうしようかな~(^^)y
■□□□ take-papa(の嫁)さん こんばんは
はじめまして、読んでくださってどうもありがとうございます。
喜んでいただき、私もうれしい気持ちです。
最近仕入れた話で、この時期に紹介できて良かったです。
うまい具合にお子さん達に伝われば、ブロガー冥利に尽きます。
うんうん・・・、グリは奇跡を偶然と解釈してましたが、間違いのようでした。
偶然とは、奇跡の産物なんでしょうね・・・。
このお話はいいお話でするよね(^^)
私はスロカノと結婚する前に一度、別の女性と結婚をしていました(^^;
しかし、彼女は結婚する前から癌に侵されていました。
私は建築家をやめ、奇跡を信じて医学部を再受験したのです。
残念ながら、前妻を助けることはできませんでしたが、その代わりに多くの子供達の命を助けるお手伝いをさせていただいております。
クリスマスには、信じられないような奇跡が病院ではおこります。
きっと、赤鼻のトナカイさんとサンタさんが奇跡を起してくれているのだと私は今も信じていまするよ(^^)
みみすけさんのブログは深いな~
しばらく、じーんとしちゃいました。
こないだの娘のピアノの発表会でも赤鼻のトナカイはみんなで歌いましたが。、
まさかこんなふうに作られたとは思いませんでした。
■□□□ 愚裏虎っちさん こんちは~
なかなかクリスマスに良いお話でしょ。
奇跡ってつい考えたくなってしまいますよね。
■□□□ スローライフは美容師に「どこきりますか^^;」っていわれた!さん どうもです。
このコメントのリプライをしば~~~らく考えたんですが、まともなリプライが思いつきませんでした。何を言っても通り一遍のような気がして。。。
人に歴史ありとは言いますが、いつも明るく振舞うスローライフさんにそんな大変なことがあったとはつゆ知らずでした。(Blogでしかお会いしてませんが)
クリスマスを含む毎日をスローライフさんスロカノさんが、仲良く過ごされることを全ての人が望み見守っている気がします。
スローライフさんの近くには多くの子供達がいるのですねえ。きっとクリスマスには多くの奇跡が起こるのでしょう。
願わくばその輪の中にお二人がいますように。
p.s. どこきりますか。爪を。。。
■□□□ しましまパパさん こんにちは
いえ~。ちょっと探してみたらよいネタがあったもので、ご紹介です~
赤鼻のトナカイ。この話を聞いて、ますます好きになりました。
コメント、後ろのほうだと、いろいろ見えるものがあります。
みみすけさんは、いつもいろいろ知ってて
すごいなぁ・・・と今回も思いましたが、
ブログ内で、お見かけするスローライフさんのコメントには、言葉が出ませんでしたが、
人の心におこる奇跡は何かに通じているのでしょうね。
■□□□ marurinさん どうも
いやあ、ほとんど偶然仕入れたねたを吐き出しているだけで、実はもう空っぽです(^^)y
来年はどうするつもりなんでしょうねえ(爆)
奇跡だと思うのも人の心による、とも思います。奇跡を奇跡としてうれしく思える自分でありたいですよね(^^)y